認知行動療法から考える「思い込みからの解放」

3/1/2025

はじめに

「自分で感情をコントロールできない」

「すぐにネガティブになってしまう」

 

そんな人に認知行動療法は最適です。

自分の思い込みパターンを理解し、修正して適切な反応に変えていく。

それを意識的に行うのが、認知行動療法です。

 

認知行動療法は自分で取り入れることもできるので、

トレーニングとして活用できます。

 

そして認知行動療法でトレーニングした思考力は、

自分らしく生きていく、独自性を発揮していく上でも必要不可欠なものです。

 

今回は認知行動療法で自分と向き合いトレーニングする方法を解説し、

その応用として自己成長に繋げる方法まで分析していきます。

 

この記事を楽しめる人

・感情に飲まれてしまうことが多い

・すぐにネガティブな感情が生まれてしまう

・思い込みから解放されて、自分らしく生きたい

・独自性を持つためのトレーニングに興味がある

 

 

認知行動療法って?

認知行動療法では、「思い込み」に注目します。

誰しも、「思い込み」「バイアス」「偏見」「固定観念」のようなものがあり、

それに左右されて自分の感情や行動が生まれています。

 

同じ出来事があっても、人によって受け取り方が違いますよね。

「性格の違い」といえばそれまでですが、

認知行動療法の視点からみると「思い込み」が重要な役割を果たしています。

 

なにか出来事があると、

思い込みに基づいて自動的に思考が生まれ、

その結果として感情や行動が生じます。

 

思い込みは「思考の癖」みたいなもので、

しばしば間違った結論に到達しがちです。

 

たとえば、友達や同僚とすれ違った時。

若干機嫌が悪そうに見え、声をかけられませんでした。

 

普通に考えれば、「なにかあったのかなぁ〜」くらいに呑気な結論に到達します。

ですが「自分が悪い」的な思い込みがある場合、

自分に関係ない場合でも「根拠のない推測」によって「自分への関連付け」が行われ、

「自分がなにかしてしまったんだ」と不安や焦りが出てきます。

 

この思い込みや、「根拠のない推測」「自分への関連付け」などの思考パターンによって、

事実が歪められていますよね。

本当に自分が悪い可能性もありますが、

この時点で「自分が何かしたに違いない」と落ち込むのは早計でしょう。

 

認知行動療法では、自分の思い込みや思考パターンを明確に認知します。

そしてそれらが「本当に正しいのか?」「他の可能性はなにか?」と検証し、

より適切な形に修正していきます。

 

このプロセスが認知行動療法の核にあります。

 

 

あるある思考パターン7選

思考の癖によって、誤った推測や結論に辿り着いてしまいます。

ありがたいことに、これらの思考の癖には定番のパターンというのがあります。

「自分は当てはまってるか」を考えながら、みていってください。

意外と面白いですよ。

 

1.一般化のしすぎ 

「いつも〜だ」「すべて〜ない」のようなフレーズ、使ったことありませんか?

10回のうち3回悪いことが起こっても、

「いつも自分はこんなふうになる」と一般化しすぎてしまいます。

 

「ここが良くないから直して」と一部を否定されると、

「要するにダメってことか」と全体まで広げてしまうパターンもあります。

 

2.自分への関連付け

自分の関係ないことまで、自分に原因があるかのように考えてしまう思考の癖です。

当然ながら、世界は自分中心ではありません。

周りの人が機嫌が悪いとき、自分が原因とは限らないのです。

 

ですが、「自分が悪いことをしてしまったのだろうか」という思考が強くなり、

結果的に変な行動をとってしまい本当にギクシャクしてしまうことも。

 

3.根拠がない推論

はっきりとした根拠がないまま結論を急ぎ、否定的にあれこれ考える思考パターンです。

ポジティブでもネガティブでも、人は自分の思い込みを強化する情報を求める特性があります。

 

ですので、「自分はダメ人間だ」という思い込みがある場合、

根拠なく推測して「やっぱり自分はダメなんだ」と思う材料を探すことがしばしばあります。

 

自分への関連付けもそうですが、

客観的視点が抜けていると自分をマイナスに向かわせる思考をしがちになります。

 

4.感情による決めつけ 

客観的事実でなく、自分の考えを手がかりに状況を判断する思考パターンです。

「自分が悲しいと思ってるから、相手が悪いに違いない/本当に悪いことが起こってるに違いない」のような思考です。

「自分がこう思ってるから」、というのは根拠にはなりませんが、

自分の感情を基に「これが事実だ」と決めつけてしまうことがあります。

 

5.全か無か思考

白黒はっきりさせる、YESかNOか、敵か味方かなど極端な判断をしてしまう思考パターンです。

曖昧なグレーゾーンを認めないとも言えます。

 

「あの人はいい人、悪い人」のような人の評価に始まり、

「一度失敗したから自分はダメ人間だ」のような完璧主義からくる自己否定にもつながります。

 

6.すべき思考

「〜すべき」「〜しなければ」といった言葉、使っていませんか?

これらの思考パターンは、特定の行動に縛られたり、

どんどん自分を追い込み焦りが生まれる原因になります。

 

認知行動療法では、must→better技法をおすすめしています。

「〜すべき/しなければ」ではなく、「〜したほうが良い」と変換するのです。

言葉をマイルドにするだけですが、

すべき思考にとらわれないためには重要です。

 

7.過大評価と過小評価

自分の短所や失敗は過大に考え、長所や成功は過小に考えてしまう。

他人には逆で、他人の長所や成功を過大評価し、短所や失敗は重要視しない。

 

「他人に優しく、自分に厳しい」といえば聞こえはいいですが、

自己否定のきっかけとなる思考パターンです。

 

「自分はダメな人間だ」という思い込みが根底にあると、

それを正当化する思考パターンが生まれやすくなり、

不安・焦り・自己否定などの感情に苦しみます。

 

反対に自信過剰な人は、この逆をやります。

それも「自分はすごいに違いない」という思い込みがあることで、

思考パターンが選ばれているのです。

 

ポジティブでもネガティブでも、問題なのは「思い込み」の存在です。

その認知の歪みを修正して、適切な感情や行動だけが引き起こされるようになる。

それが認知行動療法の目指す場所なのです。

 

 

思い込みから解放される

感情をコントロールできずメンタルヘルスに悩む人が、

自分の思い込みを認知して解放されることで、適切な思考や感情に修正していく。

 

この思い込みからの解放は、

メンタルヘルスの領域だけでなく独自性を追求するときにも必要不可欠です。

 

自分の人生を選ぶとき、

世間の価値観や声が強すぎて特定の思い込みが形成されています。

その固定観念や常識に囚われてしまうと、適切な判断が下せませんよね。

 

そこで「常識を疑え」とあらゆるところで言われています。

既存の価値観に縛られない逸脱力を磨くのです。

 

それはトレーニングによって、身に付いてくるスキルです。

認知行動療法ではメンタルヘルスの改善のために、

自分のネガティブな思い込みを認知し解放されることを中核に置いています。

 

これは人生においても、

常識や世間体、思い込みから解放されて自分を最大限に活かして充実した人生を送るためにも、

必要不可欠なスキルなのです。

 

 

おわりに

認知行動療法はメンタルヘルスを抱える人向けの治療法です。

ですがそこで終わりになるのは勿体無い。

 

思い込みを認知して、本当に正しいのかと疑問を持ち、検証していく。

その結果、新しい価値観を獲得していく。

このプロセスはメンタルヘルスだけでなく、

ビジネスでも自己分析でも独自性の追求でも必要不可欠です。

 

よく思うことですが、

異なる分野でも本質は共通しています。

その本質を捉えることができると、

自分が集中するべき1点が見えてきます。

 

認知行動療法の本質は、自分独自の人生を作り上げる上で大切なものでした。

今回はざっくりと認知行動療法について触れましたが、

他の記事ではより踏みこんで認知行動療法について書いていきます。

 

より深く勉強していきたい人は、ChatGPTとの対話形式がおすすめです。

「認知行動療法の体系的なカリキュラムを作成して」と指示して作ってもらい、

「カリキュラムに基づいて次」と進めていくのです。

 

本で勉強したい人は、以下の本がおすすめです。

読みやすく、語り口調も優しい雰囲気なので専門的な本が苦手な人にもおすすめです。

・悩み・不安・怒りを小さくするレッスン~「認知行動療法」入門~ (光文社新書) / 中島美鈴